LIFE / 第七話

成功者の部屋

彼の名前は、建物の入口には書かれていなかった。

「会社」

「一応」

《変化を恐れる会社から、死んでいく》

「さあ」

《変化そのものを恐れてはいけません。恐れるべきなのは、変化しない自分を正当化することです》

《失敗してもいい。だが、失敗から何も持ち帰らない人間に、次の仕事はない》

「ただ」

「うん」

「はい」

「何が」

「うん」

「そう」

「海外」

《未来は待つものではない。自分で迎えに行くものだ》

《場合によります》

《前提条件が不足しています》

《創業者の思想を固定的に保存する場合は、過去の発言と緊張関係が生じる可能性があります。一方、人格モデル自体を変化させる設計であれば、「創業者の思想を継承しながら更新する」と解釈することもできます》

《はい》

《AI人格モデルは更新可能です》

《本人の成長とは区別する必要があります》

《モデルの成長です》

《本人そのものではありません》

「AI」

「まあ」

「はい」

「はい」

「そう」

「はい」

「そう」

「いや」

「する」

「うん」

《未来は、過去の言葉を守ることで生まれるのではない》

《過去の言葉に、反対できる人がいることで生まれる》

「え?」

「昔ね」

「した」

「まあ」

笑った。

《成功の定義は、人によって異なります。社会的地位、経済的成果、目標達成、関係性、幸福感、自己実現など、複数の基準があります》

《年齢に応じて回答を変えた方がよいですか》

「いや」

《基本的には》

《なぜですか》

《今日、ここにいる皆さんへ》

《私はもう、ここにはいません》

《だから、私の言葉を守らないでください》

《私が正しかったことより、私が間違っていたことを残してください》

《そして、必要なら、私に反対してください》

《死んだあとの俺を、俺だと思うな》

《わかりません》

《過去の黒田修一は、生産性向上を強く支持しました。一方、晩年には、効率だけでは測定できない価値について複数の発言を残しています》

続けた。

《さらに、現在の労働環境は、彼が経営していた時代とは異なります》

そして、

《したがって、この判断を黒田修一に委ねること自体が適切ではありません》

《あなたたちです》

《成功した人間の最後の仕事は、自分がいなくてもいい世界を作ること》

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