子供に聴かせたい歌

.

— Moumoon「どこへも行かないよ」を聴きながら—

.

Kosuke Shirako

Moumoonの「どこへも行かないよ」を聴いていた。


これは、恋人の歌として書かれているのかもしれない。
でも、今の僕には、子どもに聴かせたい歌のように聞こえた。


「どこへも行かないよ」


その言葉は、単なる約束ではない。
ずっとそばにいる、という支配の言葉でもない。


むしろ、こう聞こえる。


君を傷つけるものから、できるだけ守りたい。
君がうれしいと思うものを、この手で集めたい。
でも、もし自分自身が君を苦しめるものになってしまったなら、
そのときは、自分も止められなければならない。


親が子どもに本当に伝えたいことは、
「成功しろ」でも、
「負けるな」でも、
「立派になれ」でもないのかもしれない。


もっと手前にある。


君が君のままでいられる場所を、できるだけ守りたい。
でも、親も完全ではない。
だから、もし親の言葉や愛情が、君を苦しめるものになったら、
その場所から離れていい。


この歌のやさしさは、強い言葉ではなく、静けさの中にある。


何も話さなくてもいい。
そばにいるだけでいい。

言葉にならないものが、空気のように伝わることがある。

子どもは、今この歌の意味を全部わからなくてもいい。
むしろ、わからなくていい。

いつか一人で聴いたときに、
「

ああ、親はこういう気持ちだったのかもしれない」

と、少しだけ思い出してくれたら、それでいい。


歌は、説明ではない。
手紙でもない。
けれど、時間を越えて届くことがある。

この曲は、そういう歌だと思った。


© SHIRO & Co.

First published: 2026-05-21